100年で姿を変えても
根底に流れる「人との縁」
但南建設株式会社
代表取締役 衣川 義弘
創業100年の系譜と、地域を担う役目
但南建設は1957年に株式会社として設立されましたが、創業は大正時代にまで遡ります。私の祖父にあたる創業者、そして2代目・3代目と続く中で、土木分野を主軸に地域の基盤を支えてきました。転機となったのは3代目の就任で、大手建設会社で培った知見を持ち帰り、建設業の枠を広げて、建築や鉄工なども手がける体制へと変えていったのです。私の代では、リサイクルの要素も取り込みながら、過疎化が進む時代を乗り越えるために、南へ商圏を拡大しています。
一方で、朝来市・兵庫県・国交省と災害協定を結び、河川の氾濫や土砂崩れなど非常時には出動するほか、私自身も地域の建設業組合の会長を長年務めており、「地域を担う会社」としての責任を事業の広域化と両立させてきました。

「請負」から「お役立ち」へ
銀行員として働いていた私が但南建設に入ったのは、3代目の娘である妻との結婚がきっかけでした。金融業界から建設業界へ。そこで感じたのは、当時の業界に根強かった「請負業意識」への違和感です。請け負うの「負う」という言葉には、どこか消極的な響きがあります。公共工事で利益を上げる一方で、「あくまで請け負っている」という姿勢がこびりついているのではないか——そんなあり方を変えるべく、私が掲げたのは「建設業はサービス業であるべき」という考え方であり、その象徴が住宅事業の立ち上げです。金曜日に入った雨漏りの連絡に「月曜に伺います」と答えるのではなく、困っているなら今すぐ動いてあげたい。そのために、土日出勤が基本となる住宅事業を立ち上げました。
同時に、弊社が変わらず守ってきたのは「人材こそすべて」という理念です。社員満足がなければ顧客満足は生まれない。不思議なことに、但南建設は社長のカリスマで引っ張るのではなく、権限を事業部長に委譲し、現場が判断できる仕組みをもともと築いていました。私自身も技術者の道を歩んできたわけではありません。現場に口を出すのではなく、「どうすれば気持ちよく、やりがいを持って働いてもらえるか」を考えることが、経営者の役割だと思っています。
皆さんに繰り返し伝えたいのは「技術と同じくらい、コミュニケーションが大切」ということ。営業、設計、施工管理といった職を問わず持っておいていただきたいスキルであり、社外の専門業者様だけでなく、社内での連携も大事です。会話するのが苦手という方もいらっしゃるかもしれませんが、コミュニケーションは生まれつきの「才能」ではなく、仕事の中で磨かれる「技術」です。弊社では研修を通じて身につけていけますから、安心して学んでいってください。

建設業の枠を越えても、残るもの
建設業はアナログになりがちですが、そこにデジタルを掛け合わせれば、より強い会社になると私は考えています。但南建設に入社して驚いたのは、昔からどんぶり勘定ではなかったことでした。仕事を受注した時点で利益を確定する「先行管理」があり、決算期の前には売上や利益の見通しが立つ。さらに、各案件の状況が共有ファイルで全社員に見える仕組みも整っていました。私が進めたのは、それをクラウドやDX基盤へ載せ替えただけのことです。そうした先進的な体制そのものに、但南建設の文化や風土を垣間見ることができるようにも思います。
これからDX化や働き方改革など時代が変わっていく中で、新卒の皆さんの新しい考えや違った角度からの視点を取り入れていきたいと考えています。経営企画やSNSによる広告宣伝など、若い力を発揮して楽しみながらアイデアを出してほしい。創業事業である土木分野でも、ICT施工や3Dモデリング、ドローン活用などのDX化を進めており、完全週休二日制を採るなど、これまでの「土木」のイメージを塗り替えるような働き方改革の反映を進めています。ホールディングス化を視野に入れる私たちが目指すのは、「建設」という言葉では括りきれない会社のあり方なのです。
ただし、どれだけ多様に事業展開が進んだとしても、「人間関係をつくっていく」という基本は忘れないでください。但南建設が、何代にもわたって但馬の地と縁を結んできたように、お客様の子供の代まで続くようなお付き合いをすること。大きく利益を上げられなくとも、純粋な好奇心を失わず、人の喜びに素直でいること。そんな想いを大事にできる方と出会えるのを心待ちにしています。